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新型しんがたコロナウイルス感染症かんせんしょうに係る予防接種よぼうせっしゅ幼児児童生徒ようじじどうせいとたいする実施じっしについての学校等がっこうなどにおけるかんが方及かたおよ留意点等りゅういてんなどについて

2022.09.12

このたび、文部科学省から、学校における新型コロナウイルス感染症に関して、以下の事務連絡を発出しておりますので、お知らせします。

(本件連絡先)
文部科学省外国人学校保健衛生プラットフォーム事務局
Tel:050-3187-8114(多言語での相談窓口)
E-mail:hsfs@mediphone.jp

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(別紙)

新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の幼児児童生徒に対する実施についての
学校等における考え方及び留意点等について

文 部 科 学 省 初 等 中 等 教 育 局 健 康 教 育 ・ 食 育 課
内閣府子ども・子育て本部参事官(認定こども園担当)
厚 生 労 働 省 子 ど も 家 庭 局 保 育 課
厚 生 労 働 省 健 康 局 予 防 接 種 担 当 参 事 官 室

今般、予防接種法施行令(昭和 23 年政令第 197 号)の一部改正により、12 歳未満の者について、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン(以下「新型コロナワクチン」という。)の接種を受ける努力義務が適用されることとなるとともに、予防接種実施規則(昭和 33 年厚生省令第 27 号)等の一部改正により、5歳以上 11 歳以下の者に対する新型コロナワクチンの3回目接種が実施されることとなりました。
幼児児童生徒に対する新型コロナワクチンの接種に係る考え方及び留意点等については、各都道府県教育委員会担当課等に対し、「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の幼児児童生徒に対する実施についての学校等における考え方及び留意点等について」(令和4年2月 21 日付け文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課、内閣府子ども・子育て本部参事官(認定こども園担当)、厚生労働省子ども家庭局保育課及び厚生労働省健康局健康課予防接種室連名事務連絡)でお知らせしたところですが、今般の改正を踏まえ、改めて下記新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の幼児児童生徒に対する実施について、学校等集団接種に関する考え方など、学校等における考え方及び留意点等を取りまとめましたのでお知らせします。

本事務連絡は、現時点の知見に基づき作成したものであり、今後、新たな知見が得られた場合には、変更の可能性があり得ます。
都道府県・指定都市教育委員会担当課におかれては所管の学校等及び域内の市(指定都市を除く。)区町村教育委員会に対して、都道府県私立学校主管部課におかれては所轄の学校法人等を通じてその設置する学校等に対して、国公立大学法人担当課におかれてはその設置する附属学校に対して、文部科学大臣所轄学校法人担当課におかれてはその設置する学校等に対して、構造改革特別区域法(平成 14 年法律第 189 号)第 12 条第1項の認定を
受けた地方公共団体の学校設置会社担当課におかれては所轄の学校設置会社及び学校に対して、都道府県・指定都市・中核市認定こども園主管課及び保育担当課におかれては所管の認定こども園及び保育所並びに域内の市(指定都市及び中核市を除く。)区町村認定こども園主管課及び保育担当課に対して、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課におかれては所管の高等課程を置く専修学校に対して本件を周知されるようにお願いします。

1.学校等集団接種に関する考え方

新型コロナワクチンの接種については、医療機関等における個別接種及び市町村等が特設会場を設けて行う集団接種が想定されています。
幼児児童生徒に対する予防接種について、学校等を会場とし、当該学校等に所属する幼児児童生徒に接種を行う形態の集団接種(以下「学校等集団接種」という。)によって行うことは、その実施方法によっては、保護者への説明の機会が乏しくなる、接種への個々の意向が必ずしも尊重されず同調圧力を生みがちである、接種後にみられた体調不良に対するきめ細かな対応が難しいといった制約があることから、現時点で推奨するものではありません。
ただし、個別接種の体制の確保が困難である場合など、特に地域の事情により、ワクチンの接種主体である市町村の判断において、学校等集団接種を行う必要がある場合には、以下の点に十分留意し、適切な対策を講じる場合に限り、実施することができます。
また、今般、5歳以上 11 歳以下の者に対する新型コロナワクチンの接種について、新型コロナウイルスのオミクロン株の流行下においても入院予防効果等の有効性が確認されたこと等を踏まえ、当該者について努力義務が適用されることとなりましたが、接種はあくまでも本人及び保護者の意思で受けていただくものであることに変わりはないため、事実上の強制となることがないよう、引き続き留意してください。

(1)生徒及び保護者への情報提供及び保護者の同意・同伴に関して留意すべき点

・ 生徒及び保護者が自ら接種の判断ができるよう、ワクチンの効果や副反応についての説明、接種に関する相談先の周知を行うことが重要であるため、市町村は、生徒及び保護者に対する丁寧な情報提供や方法の工夫を行うこと。その際、市町村等の相談窓口を設ける等の方法で、ワクチンに関する質問等にも対応すること。

・ 特に、16 歳未満の幼児児童生徒にワクチン接種を行うに当たっては、市町村は、保護者に丁寧な情報提供を行い、保護者の同意を得ることが求められること。

・ 小学生以下の幼児児童への接種については、保護者の同意を予診票上の保護者自署欄で確認することができる場合であっても、保護者等の同伴を要するのであること。

(参考)保護者の同意や同伴の取扱いについて
接種対象となった 16 歳未満への予防接種を実施する場合は、原則、保護者の同意・同伴が必要であること。保護者の同意については、予診票の保護者自署欄で必ず確認すること。ただし、中学生以上の被接種者に限り、当日の受付時に、接種することについての保護者の同意を予診票上の保護者自署欄にて確認できたときは、保護者の同伴を要しないこととすることができるものとする。
その際、接種の実施に当たっては、あらかじめ保護者の連絡先を把握するとともに、被接種者本人が予防接種不適当者又は予防接種要注意者か否かを確認するために、予診票に記載されている質問事項に対する回答内容に関する本人への問診を通じ、診察等を実施した上で、必要に応じて保護者に連絡するなどして接種への不適当要件の事実関係等を確認するための予診に努めること。
なお、保護者が特段の理由で同伴することができない場合は、被接種者の健康状態を普段より熟知する親族等で適切な者が、保護者から委任を受けて同伴することができる。この場合に、接種実施医療機関や接種会場において必要がある場合には、当該同伴に関する委任状の提出を求める取扱いとしても差し支えない。(「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(9版)」)

(2)接種が事実上の強制とならないために留意すべき点

・ 市町村は、授業中など教育活動を実施している時間帯に、学校等集団接種を行わないこと。

・ 市町村は、学校等集団接種を実施するに当たっては、接種を希望しない生徒や保護者へ配慮する観点から、放課後や休日、長期休業期間等に設定するなど、生徒や保護者が接種の判断を行うに当たっての心理的負担を軽減する工夫を行うこと。

(3)集団接種に対応できる体制の整備

・ 市町村は、地域の医師会や医療機関等と連携し、集団接種の対象となる幼児児童生徒数に応じた適切な体制を整備する必要があること。特に、接種後の経過観察、副反応や有害事象が出た場合の応急対応や連絡の体制、救急体制については万全を期すこと。また、予診票の確認、ワクチンの希釈・充填にも適切な人員を確保する必要があること。

・ 多数の幼児児童生徒への接種体制を確保するには、単に学校医を招聘するだけでなく、医師以外の医療従事者の確保、救急医薬品の確保等を含め、適切な体制を整備する必要があること。

・ 学校等集団接種を行う学校の教職員等が、予診票の配布等を行うことも考えられるが、集団接種に関して、どのような業務に関わるのか、事前に明確にしておく必要があること。ただし、学校等の運営に過度な負担が生じ、教育活動等の実施に支障が生じるような業務の実施は、教職員等に対して求めないこと。

(4)予防接種ストレス関連反応(ISRR)への対応

・ ワクチンの接種前後に生ずる不安、恐れなどのストレスをきっかけに、接種時の急性ストレス反応(特に血管迷走神経反応)に代表される、予防接種ストレス関連反応(ISRR)と呼ばれる反応が生じることがあること。

・ これらの反応は、特に、思春期に発生しやすく、周囲の生徒の様子などの影響を受けてその場にいる生徒に連鎖して生じることもあるため、生徒が落ち着いた雰囲気で接種が進められる環境を整備するとともに、万一に備えた体制を整えておくことが必要であること。

2.新型コロナワクチンの接種に伴う出欠等の取扱い

(1)幼児児童生徒が医療機関等においてワクチン接種を受ける場合の出欠の取扱い

幼児児童生徒が医療機関等でワクチンの接種を受ける場合の取扱いについては、例えば、期日や場所の選択が困難であり、かつ、接種場所までの移動に長時間を要する場合等に、校長(園長を含む。以下同じ。)が「非常変災等生徒又は保護者の責任に帰すことのできない事由で欠席した場合などで、校長が出席しなくてもよいと認めた場合」に該当すると判断し、指導要録上「出席停止・忌引き等の日数」として記録(幼稚園等については、備考欄等にその旨を記載)することで欠席としないなどの柔軟な取扱いをすることも可能です。

(2)副反応が出た場合の幼児児童生徒の出欠の取扱い

副反応であるかに関わらず、接種後、幼児児童生徒に発熱等の風邪の症状が見られるときには、学校保健安全法第 19 条の規定(当該規定を準用する場合を含む。)に基づく出席停止の措置を取ることができます。また、発熱等の風邪の症状以外があった場合には、幼児児童生徒や保護者から状況を聴取し、校長や施設長等において適切に判断いただくよう、お願いいたします。

3.予防接種歴の取扱い

接種の強制につながることのないよう、市町村や学校等においては、幼児児童生徒の行事への参加等に際して、ワクチンの接種等の条件を付すべきではありません。
一方、学校教育活動等においても、何らかの理由で生徒等の予防接種歴を把握する必要が生じる場合には、情報を把握する目的を明確にすること、本人や保護者の同意を得ること、他の生徒等に知られることのないような把握の方法を工夫することなど個人情報としての取扱いに十分に留意して把握するようにする必要があります。その他、健康診断に伴う保健調査等として新型コロナワクチンの接種歴が把握される可能性がありますが、そのような場合にも同様に個人情報としての取扱いに十分に留意する必要があります。

4.差別やいじめ等の防止

新型コロナワクチンの接種を受ける又は受けないことによって、差別やいじめなどが起きることのないよう、学校等においては、
・ ワクチンの接種は強制ではないこと
・ 周囲にワクチンの接種を強制してはいけないこと
・ 身体的な理由や様々な理由によってワクチンを接種することができない人や接種を望まない人もいること。また、その判断は尊重されるべきであることなどを幼児児童生徒に指導し、保護者に対しても理解を求めること。
また、市町村は、ワクチンの接種に伴う差別やいじめなどについての相談窓口を設けること。

5.新型コロナワクチンの接種に係る広報

新型コロナワクチンの接種に当たっては、生徒及び保護者が自ら接種の判断ができるよう、ワクチンの効果や副反応、接種に関する相談先の情報等について十分に周知されることが重要です。
今般の5歳以上 11 歳以下の者に対する新型コロナワクチンの3回目接種の実施に関しては、各都道府県・市町村・特別区衛生主管部(局)に対し、厚生労働省健康局予防接種担当参事官室より別添の保護者等に対する情報提供資材について送付しているところですが、地域の実情に応じ、学校や社会教育施設等において保護者が訪れやすい場所に据え置く、教育委員会や学校等のホームページや校内ネットワーク等に掲載するなど、希望する保護者等が必要な情報を取得できるように、各学校設置者等におかれても地域の衛生主管部(局)の求めに応じて必要な協力を行ってくださいますようお願いします。その、保護者の質問等に応じられるよう、当該情報提供資材について、衛生主管部(局)において地域の相談先を明記するなど必要な編集を行った上で活用することを検討くださいますようお願いします。

(参考1)新型コロナワクチンの幼児児童への接種に関する見解等について
新型コロナワクチンの幼児児童への接種に関しては、以下の考え方等が示されています。

○公益社団法人日本小児科学会
 ・新型コロナウイルスワクチン接種に関する、小児の基礎疾患の考え方および接種にあたり考慮すべき小児の基礎疾患等(令和4年2月 14 日(令和4年8月 17 日改訂) 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会)
 http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=409
 ・5~17 歳の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方(令和4年8月 10 日 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会)
 http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=451

○公益社団法人日本小児科医会
 ・5 歳~11 歳の新型コロナウイルスワクチン接種にあたって(令和4年1月 19 日 日本小児科医会)
 https://www.jpa-web.org/blog/sharp8000/a275

(参考2)予防接種ストレス関連反応(ISRR)
 予防接種ストレス関連反応(ISRR)は、世界保健機関(WHO)の専門家会議で提唱されたものであり、WHO は、2019 年 12 月にマニュアルを公表しています。
 https://apps.who.int/iris/handle/10665/330277
 血管迷走神経反応は、ワクチン注射への恐怖心や不安感、あるいは痛みが原因で、気分が悪くなったり、気を失って倒れたりすることです。ワクチン接種の会場では、血管迷走神経反応やアナフィラキシーの発生に備えて、接種後の体制を整えてください。